結論
「院長と合わなかった」そう言って辞めていく方を減らすには、「ルールを作り、言語化する」ことが重要です。
■辞める理由にはどんなものがあるか?
公益社団法人日本歯科衛生士会の「令和2年 歯科衛生士の勤務実態調査報告書」では、歯科衛生士の転職・退職理由は以下のようになっています。
・結婚…29.3%
・経営者との人間関係…29.0%
・出産・育児…28.7%
・給与、待遇の面…22.3%
・仕事内容…22.0%
■本当の退職理由は?
辞める方に退職理由を聞いても、建前の理由しか出てきません。
「地元に帰ろうと思う」「家族で問題が起きて、働けなくなった」「スキルアップ」を考えたい。
本当の理由を言ってくれるケースもあると思いますが、多くは当たり障りのない理由が多いです。
精神科医として、精神的に不調を訴える歯科衛生士さん100名以上の相談に乗ってきました。
その中で精神的な不調を訴える原因を伺っていくのですが、人間関係が問題となっている方が非常に多いことに気付きました。
さらに詳しく話を聞いてみると、「院長は良い方であったが、自分の力不足で付いていけなかった」と、口を揃えて多くの方がおっしゃいます。
■本当の退職理由に対してどのように解決するか
「院長は良い方であったが、自分の力不足で付いていけなかった」この背景にある本当の理由をいくつかピックアップし対策をお伝えしたいと思います。
「院長は良い方であったが、自分の力不足で付いていけなかった」この言葉の背景には、院長が求める基準に到達できなかったことを意味します。そして、院長が指示を出しているうちにその方の自信を失わせてしまい、ここは自分の場所でないと感じるそうです。
自信を失わせるパターンは、3つのパターンに分けられます。
①院長が頻回に指示を出す
②院長のこだわりが言語化されていない
③院内のルールが言語化されていない
①院長が頻回に指示を出す
誰しもが、今行おうとしていることを、「〇〇やってください」と院長から言われると、「今やろうと思っていたのに」と思い、モチベーションが下がります。また、この行為は、後に自分は仕事が出来ないからそのように注意されてしまうのではないかと考えるようになり、自信の喪失につながります。
②院長のこだわりが言語化されていない
歯科医院の場合、歯科医師によって治療の進め方が先生のこだわりによって異なることはよくある話だと思います。そのこだわりが言語化されていないと、新しく入った方は院長のこだわりに気づくことができず、注意を受けたりします。また、周りの人と比べて、仕事が出来ないと感じ、自信の喪失に繋がっていきます。
③院内のルールが言語化されていない
こちらも院長のこだわりが言語化されていないのと同様に、ルールが言語化されていないと、前職の歯科医院では褒められたことが、今の医院では叱られるということが発生してしまいます。
叱られてしまうことで仕事ができないと感じ、こちらも自信の喪失につながっていきます。
■本当の辞める理由に対しての解決策は?
解決策は「ルールを作り、言語化する」です。
非常にシンプルですが、多くの歯科医院や会社で出来ていないことであり、それが離職につながっております。
スタッフの方にコミュニケーションを取り、前職と自分の歯科医院がどの点が異なるか聞いて、その部分をルールを作り、言語化を心がけましょう。